今回は、今から100年ほど前に、木版画で製作されたと思われる装幀(本の表紙)を額装したものをご紹介します。この絵の筆者は「竹久夢二」、本のタイトルは「金色夜叉終篇・上巻」(出版社:春陽堂)です。この絵は超有名ですね。熱海の海岸で宮さんと会い、「来年の今月今夜、僕の涙で必ずこの月を曇らして見せる!」と叫び、貫一が下駄を履いた足で許しを請う彼女を蹴とばした場面です。中央背表紙箇所には「金色夜叉終篇」と書いてあります。
ところで、竹久夢二は装幀にはかなりのこだわりがあったようで、木版装幀をよく用いていたそうです。また、春陽堂のものには「木版装幀」がよく使われていたと聞きますので、この表紙も木版画装幀の可能性は高いような気がします。なお、額裏の切り抜きは「下巻」のものが貼られています。ラベルに大正9年とありますので、これが上巻のほうの発行年ではないかと思います。追加画像をヤフーボックスに投稿しておりますので下段【詳細画像】をクリックしてご確認下さい。
■金色夜叉終篇・上巻
■発行年:大正9年(初版かどうかは不明)
■著者:長田幹彦
■発行所:春陽堂
【竹久夢二】略歴
明治17年9月16日生まれ。38年ごろから挿絵画家として活躍,独特の美人画のほか「宵待草」などの叙情詩で人気を博す。絵画・挿絵のほか、千代紙・浴衣・書籍の装丁などのデザインや詩、俳句など幅広いジャンルで活躍。昭和9年9月1日死去。51歳。岡山県出身。本名は茂次郎。
作品サイズ:ヨコ230×タテ165
額サイズ:タテ395×305×厚25
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