作品紹介vol.19

今回の掛軸は、野田九浦(のだ きゅうほ)筆「豊干禅師」です。豊干禅師は、中国唐時代の僧侶で天台宗国清寺に住み、虎に乗って衆僧を驚かしたり、寒山や拾徳という異能の人物を弟子としたり、さまざまな奇行で知られていました。九浦のこの画は、禅師が虎には乗っていませんが、ペットの犬を散歩させるように連れています。この虎の表情が何ともユニークで、獰猛な虎が従順に禅師に従っている様子が伺えますね。この絵を画いた頃は、多分、九浦も本物の虎は見たことがなかったのではないかと思います。言い伝えや先人たちの虎の絵を見て画いたものと思われます。水墨淡彩でサラッと描かれていますが見応えのある一品です。ヤフーボックスに追加画像を投稿しています。下段の【詳細画像】をクリックして虎の表情を是非ご覧ください。

掛軸 野田九浦
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日本画家野田九浦は、1971年(昭和46年)11月2日老衰により東京吉祥寺の森本病院で死去した。享年91才。本名道三。明治12年12月22日東京に生れた。はじめ寺崎広業に師事し、明治29年東京美術学校日本画科選科に入った。翌年之を退学し、白馬会研究所に入って洋画を学んだ。一方また日本美術院研究生として日本画にも精進した。明治40年第1回文展「辻説法」が二等賞となり、一躍有名となった。この年大阪朝日新聞に入社し、大阪画壇のためつくした。その頃、巽画会審査員をつづけ、また官展で屡々に受賞し、審査員となった。昭和22年帝国芸術院会員となり、翌23年金沢美術工芸大学教授となった。同24年日展運営会理事、同33年社団法人日展顧問となった。着実な大和絵風画風を現代に生かし、考証的歴史画を得意とした。

 

【作品詳細】

■野田九浦筆「豊干禅師」

■真作保障

■印刷ではありません。紙本に画かれています。

■軸先材質:象牙

■共箱

■概略寸法(mm)

本紙:320×1300

総丈:460×2160

軸長:510